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2023年12月23日

第55回中部建築賞 入賞

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第55回中部建築賞の入賞を弊社で設計監理を行いました「福井の住宅」が受賞しました。2次審査の現地審査を経て、最高賞である入賞に選出頂きました。お施主様、厳しい条件にも関わらず素晴らしい施工を頂きました水上建設様、また外付スクリーンを一緒に開発,施工いただいたカズマ様、いつもながら多大な協力を頂いた構造設計のKAP様、審査員の皆様に、改めて感謝申し上げます。現地審査頂いた審査員の藤吉様の選評を添付させて頂きます。

選評
この住宅で一番に評価したいのが依頼者の姿勢にある。設計者の選定以降提案にはほとんど変更を要求せず設計者の意図を発揮できるよう対応されたという。住宅では自分たちの思いを実現したいというのが一般的だが設計者の領域には口を挟まなかったとも。おかげで設計者は構想を実現するために構造や素材の使い方など細部にわたってとことん追求できた。そのこだわりが密度の高い建築に現れている。さらに設計者の要求に厳しい予算のなか忠実に応えた工事施工者にも敬意を表したい。質の高い建築を作るのに欠かせない条件が満たされたことでこの住宅はできたのだ。外部や内部の整理された表現からは設計者の情熱、熱い思いが伝わってくる。
内部は坂の途中の角地という敷地条件から高低差を利用し眺望満点の空間となっている。吹き抜けになったリビングの一面は全面ガラスとなっていて解放感を満喫できる。道路からは二階になっているためプライバシーは守られている。住宅街にありながらここまで開放的なケースは少ないように思われるがクライアントはこの雰囲気を気に入っている。設計者は木構造のフレームの表現に大きなエネルギーをかけたという。その努力がリズミカルな空間を生み出した。大きなガラス面の日差し対策と夜間のプライバシー保護のために外付けの電動ロールスクリーンを自らこの家のために作ってもらい取り付けられている。遮熱効果もあり有効に機能している模様である。こうした配慮もきっちりされているからクライアントの信頼も厚い。
要素を絞り込みディテールを極め作りこむ、努力を惜しまない並々ならぬ執念を感じる、その情熱が見るものに伝わってくる。建築に情熱を傾ける若い設計者のこれからの活躍が楽しみだ。(藤吉洋司)