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2014年7月 9日

鯖江の住宅現場3

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福井県鯖江市の住宅の現場が進んでいます。屋根工事は完了して、現在外壁の施工中。今回の外壁は総厚さが444mmで、木造にしてはかなり厚い仕様としている。下地材が何層にもなっているため、大変手間がかかるのだけど、現場の監督、大工さんはじめ施工者が非常に丁寧に仕事をしてくれています。その分、作業時間も多く、この日も19時過ぎまで作業されていました。今回の大工さんは地元の前田建築さんにお願いしていて、設計者の意図を理解していただき、そのためにどうするべきか非常によく考えて、一方で現場監督や設計者の話に真摯に耳を傾けていただける人です。なかなかいない大工さんのように思います。今後の物件も是非お願いしたいと感じています。(外壁の厚さの理由は別途紹介しようと思います。)
先月は構造検査を行い、構造担当して頂いている構造設計事務所KAPの桐野康則さんも東京代々木の事務所から現場確認にきてくださいました。他にも多くの物件をかかえ、お忙しい中、今回の住宅についても、丁寧、迅速に対応していただけています。
大工の前田さん、構造設計の桐野さんともに、自分よりも年上で知識も経験もお持ちでありながら、偉ぶるようなことがなく、丁寧で誠実な姿勢に、多くのことを勉強をさせていただいています。

2014年6月29日

須田帆布店

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先週の日曜日、茨城で進めているプロジェクトの打ち合わせでつくば市に行き、その打ち合わせの帰りにお施主さんと一緒に、須田帆布さんに伺いました。須田帆布さんは、つくば市内に工房とお店を持つ、手作りの鞄屋さんです。とても人気のある鞄屋さんで、東急ハンズなどでも売られているのですが、当日も筑波の店内にも遠方からたくさんの方がいらしていました。須田さんご夫婦が一つ一つ使い方やメンテナンス方法を丁寧に説明されていました。様々な具体的なシチュエーションを想定されて鞄がつくられているのが印象的で、また商品一つ一つについての説明を多分ご主人が書かれていらっしゃるのですが、それぞれの鞄にとても愛情を込めて、飾らず誇張せずに書かれていて、読んでいて楽しくとても好感がもてました。
今回はお施主さんが須田帆布さんのお店の建物が素敵なので一緒に併設されているcafeに行きましょうとお誘い頂いて伺ったのですが、建物もとても良かったです。建物は木造で、切り妻の金属屋根、左官仕上げの外壁、木製建具素地仕上げの開口部の建物は、周辺の住宅街の建物よりも少し大きいボリュームに関わらず、突出することなく街並にも調和していました。お店の中は壁天井が見切りのない白い左官仕上げで、床は無垢の厚板敷きでした。印象的だったのは、床の無垢材(ハードメープル)は一枚一枚丁寧に手仕事で四周に2mm程度面をとられていました。通常面をとると丸みを帯びた優しい印象になるのですが、この建物の面は丸くせず落としているので、非常にエッジがきいていて素材の良さが引き立っていて良かったです。残念ながら2階のcafeは現在やっていなかったのですが、店主の須田さんのご好意で2階のcafeスペースも見させて頂きました。建物の設計施工は茨城の大工さんで、とても良い吟味された素材が、非常に丁寧につくられて、つくり手と建て主の方の大変な労力と建物への思いがビシビシと見る人へも伝わってきました。
その後、須田さんが建物を担当されていた高橋さんという大工さんをお店に呼んで頂いて紹介頂き、お施主さんご夫婦、須田さん、高橋さんと私でお話をする時間を頂きました。そこにいた全員がものつくりに関わる人間で、現在進めているプロジェクトの話をさせて頂いたり、お施主さんのものつくりへのお考えや、須田さんと高橋さんから当時の建物建設のお話や、ものつくりへのお考えを聞くことができました。また皆さんで再会したいと思うような素敵な出会いでした。

2014年6月 1日

坂本一成氏講演会

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先日建築家坂本一成氏の講演会を明治大学で聞きました。
坂本氏の講演会は2度目で、1度目は今から6,7年前だったと思います。そのときの講演とほぼ同じ内容、構成のように思いましたが、坂本氏がつくりたいと言われていた「ニュートラルな建築」「自由な空間」「ありそうでない建築の空間」「生活や歴史、文化と連続していて完結したものではなくて非完結的な建築」「複雑で矛盾に満ちている社会に適合した建築」という言葉は当時よりも自分の中に入ってきました。
講演会最後、進行をされていた明治大学の講師の方が「坂本氏の建築は一つ一つの部位に自由が有り、しかしそれらには強い一体感がある」と言われていた言葉が印象的で共感しました。偶然ですがこの言葉は、私の大学時代の先生である建築家内田祥士氏の著書「東照宮の近代/都市としての陽明門」にある、「日光東照宮陽明門」と「東京」についての言説と重なり、一層興味深い講演会となりました。

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5/20大安の日、福井県鯖江市で監理を進めている住宅の上棟式がありました。
本建物は構造体が現しになる箇所があり、通常の上棟式よりも応援の大工さん、鳶さんを少なくして、一つ一つの作業を丁寧に施工頂きました。現場監督の建物をよく理解して頂いた上の判断です。
お昼には美味しいお弁当を頂き、帰りにはたくさんの引き出物を頂きました。その他、お仕事のお忙しい中、休憩時の準備等、近くの公民館を事前に借りて頂いて休憩場所を用意頂いたりと、お施主様の施工者への気遣いが伝わってきてとてもよい上棟式でした。
職人さんが休憩している間に、お施主様ご夫婦が建物の写真をたくさんとられていました。「今しか見れないからね」と軸組の建物を様々なアングルから何十枚も写真をとられていたのが印象的でした。撮った写真を見ながら「建物が完成したら、今日のこの写真を額に入れて飾ろうと思っている」とも言われていて、家造りを楽しんで頂いているのが伝わってきて嬉しく思いました。

2014年5月 3日

山口蓬春記念館

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先日葉山にある山口蓬春記念館を訪れました。
この建物は、画家山口蓬春(1893-1971)が1948年から亡くなるまでを過ごしたアトリエ兼住居です。既存の木造2階建の家屋を逢春が購入し、建築家吉田五十八が増改築の依頼を受け、設計を手がけた建物です。山口氏の亡後、財団法人JRが建物及び所蔵作品の寄贈を受けて、1991年に記念館として開館されています。建物周辺にはよく手入れされた庭園が広がっていて、ボタンなどたくさんの花が咲いていました。
吉田五十八氏によって増築された画室は当時のままになっていています。南北に大きな開口があり、全ての建具が壁の中へ引き込むことができるようになっていて、室内と外部が一体になるように設計されています。南側の大きな障子は、鴨居がなく、床面から天井面まで一つの障子となっており、建具の中で欄間部分が可動できるようになっています。絵を制作する机の上に鴨居の影が落ちる事へ配慮して、このような障子が生まれたと記念館に説明がありました。鴨居だけではなく、窓廻りの枠、天井照明の縁、水回り等など室内は線材が少なく、部材は華奢に設計されていました。これらの納まりは数寄屋造りとしてのスタイルではなく、南北の大きな開口から美しい庭の風景を室内に取り込むために設計されていることが伝わってきました。訪れた日は雨の降るあいにくの天候でしたが、北側の窓下に造り付けられたソファに座っていると、とても居心地がよく、長居をしてしまいました。美術館と違い、小さな子供を連れた家族で訪れても楽しめる場所だと思います。
山口氏の絵には、花や鳥が多く描かれ、また非常に明るいものが多く、特に葉山のこの建物に移ってからの作品はその傾向が強いように思います。建物や庭園が山口氏の絵の制作に与えた影響も少なくないと思いました。自分自身、建物はわたしたちの生活の背景をつくるものであって、人に与える影響は大きいと考えています。山口氏にとって本建物、庭園は大切な場所であったことが伝わってきて、気持ちの良い時間を過ごすことができました。

2014年4月26日

材木工場

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福井県鯖江市で進行中の住宅の施工者との打ち合わせを、今回材木をお願いしているクラシス株式会社の事務所で行い、その後工場で材料確認を行いました。クラシスさんの社屋は鯖江市下河端にあり数年前に建てられた新しい建物です。広い敷地に事務所や工場、ストック置場があり、新しいこともあるでしょうが、スペースに余裕がありとても整理整頓されている印象でした。工場を拝見して今後の加工作業も丁寧な仕事をして頂けるのではないかと思いました。
工場内の外部にある材木ストック用の鉄骨の建物が折板と鉄骨フレームと養生シートでできた簡単なつくりでしたが、無駄なものがなく美しく良かったです。
本計画建物では柱や梁の構造材が露出で見えてくる箇所も多くあるので、施工者にとっては搬入や建て方、その後の養生等でとても気を使うため真壁構造は大変なのですが、構造材が見えることは(大壁構造ではなく真壁構造であることは)、意匠以外にも、建物の保守性メンテナンスの点からも好ましいと考えています。1ヶ月後の建て方が楽しみです。

2014年4月19日

浄土寺浄土堂

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数年前の夏、兵庫にある国宝浄土寺浄土堂を訪れました。
浄土堂は1194年に重源によって建てられた仏教建築で、約18m×18mの正方形平面、面積は330㎡、6寸勾配の方形屋根の建物です。この浄土堂は自分的にはとてもいいなと思った建物の一つです。是非近くに行かれた際には見て頂きたい建物です。
敷地は少し高台にあって、周辺から見ると浄土堂の屋根が少しだけ見える程度、境内の中に入っても、あまり演出された感じの建ち方ではなく、どちらかというと唐突に置かれているような印象をもちました。建物は境内の中で一番西側にあり、人のアプローチも西側からなので、階段で境内に上がってくると浄土堂の側面を一番始めに目にする事になります。境内には東に薬師堂もあります。建物は大きいという印象はなく、また正面性もあまり感じませんでした。内部は大きな阿弥陀如来像(H5.3m)が中心におかれ、その廻りを人が自由に歩く事ができ、室内の柱や梁など構造材は朱色、壁面は白色で塗られ、天井がはられていない大きな一室空間です。私は、北側の小さな扉から入って、中央の如来像の大きさ、天井のない高く大きな空間、朱色と白の鮮やかな色彩に圧倒され、像の前にいる人はとても小さく感じられました。外観に見る普通さ、内観の荘厳でありながら、自由な雰囲気がとても良かったです。
私が訪れたのは午前10時頃ですが、西側には木格子が入った開口部があり、夕方になると如来像が後方からの西日の光を受け、最も印象的な室内風景になるように計画されています。今度はこの時間(午後16時)にもう一度訪れたいと思っています。

2014年4月 9日

手賀沼の桜

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先週末、手賀沼近くの柏ふるさと公園で花見をしました。
満開の時期を過ぎていて、新緑が出ていましたが、淡いピンク色と緑色の配色がきれいでした。
この公園は、自分たちが花見を楽しんだ公園にも桜の木がたくさんあって、また沼の反対側、数百メートル離れた所にも桜の並木が数キロにも沼際の遊歩道に連なっているのが見えます。
身を置いている公園に意識を集中していると、宴会を楽しむ大勢の人々やその話声、球技や自転車等を楽しむ人々、風で舞った桜の花びら等々多くの物が視界に入ってきて動的な場所を体験しているのですが、数百メートル先の桜並木に意識を集中すると変わらない風景に、静的な場所に身を置いているような気分になり、落ち着いた気分になりよりリフレッシュすることが出来ました。一つの場所にて二つの違った体験が出来きたような気がしました。
建物では複数の違う性格の体験が出来ると良いと考えています。規模が大きくない場合や予算が厳しい場合でも、周辺の風景を取り入れたり、または遮ることなどの関係をよく考えることで、豊かな建物ができると考えています。自然が与えてくれる多様さに勝るものはないですね。
今回の花見は広い公園の中で、沼際を選んでシートを引けたのが、自分的にはとても良かったです。


2014年4月 5日

柏レイソル

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先日柏レイソルの試合を家族で観戦しました。
日立柏サッカー場の収容人数は15,000人程度ですが、ピッチと観客の距離がとても近く、グランドの臨場感や選手の熱気が伝わってきて観戦するには、とても良いサッカー場だと思います。現在の国立競技場が約54,000人、埼玉スタジアムが64,000人とすれば、決して大きくはないですが、このサイズは柏市の規模にも適していると思います。柏市の人口は40万人です。
自分がスタンドに入ってまず感じるのは明るさで、その明るさに気分も一気に高揚します。柏サッカー場の照度は水平面で2000lx、通常の学校の教室の照度設定が300lx、大きな駅舎のコンコースで500lxであると考えると、やはり2000lxは明るいですね。照明計画は見やすい見にくいの基準だけではなく、そのスペースでどのような気分を望んでいるのかを考慮する事も大切ですね。
今年もタイトル目指してがんばってほしいです。


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先日、福井県鯖江市で計画中の住宅の地鎮祭がありました。
前日までの雨がやみ、風はまだ冷たかったですが晴れ晴れとした気持ちの良い地鎮祭になりました。
会場の準備を見ていましたが、仮設の白テントに紅白の幔幕が張られ、竹が設置されると、その場は一変して神聖で晴れやかな場所になりました。簡素な設えが大きな効果を生んでいるのをみるのは気持ちがいいものです。
本建物は、切妻屋根をもつ平屋の木造住宅です。建物の外観や建ち現れ方は、既存の建物と同じ勾配屋根、低めに押さえたボリュームとし出来る限り周辺の環境から突出しないように設計しています。内部空間は周辺環境との距離の取り方を考え、いくつかの試みを実践しています。それらの操作とその効果が、緊張感をもった気持ちの良い建物につながるのではないかと考えています。
9月の竣工に向けて、ブログでも現場の報告もしていきたいと思っています。

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